遺産分割を放置しておくと大変なことに!
遺産分割、そのままにしていませんか?
ご家族が亡くなられた後、「相続の手続きが進まない」「話し合いがまとまらない」といったお悩みをよく耳にします。
たとえば、こんなお困りごとはありませんか?
- 相続人が多すぎて、全員で話し合うのが難しい
- 高齢の相続人がいて、意思確認がうまくできない
- 不動産の価値が高く、法定相続分では分けきれない
- 疎遠だった相続人がいて、連絡を取るのが大変
- 以前の相続登記がされておらず、誰が相続人かわからない
- 「特別に援助した」「介護した」など、もめごとの種がある
- 亡くなった方の預金の使い道がわからない
- 遺産のほとんどが不動産で、共有したくない
こうした理由で話し合いが進まないまま、遺産分割を放置してしまうケースは少なくありません。
ですが、そのままにしておくと大きなトラブルになることもあります。
たとえば…
遺産分割を放置すると起こる可能性がある5つのトラブル
1. 銀行の預金が引き出せない
大切なご家族が亡くなった後、その方の銀行口座(預貯金)はすぐにお金を引き出すことができなくなります。
これを「口座の凍結」といいます。
銀行は、誰にどのようにお金を渡せばよいかを明確にするため、手続きが完了するまで口座の利用を止めるのです。
特に、故人が遺言書を残していない場合、相続人全員が遺産の分け方について話し合い、「このように分けます」と合意しなければ、預金を全額引き出すことはできません。
つまり、相続の話し合い(=遺産分割)が済んでいなければ、お葬式の費用や生活に必要なお金にも手をつけることができず、困ってしまうこともあるのです。
なお、令和元年7月の法律改正により、条件を満たせば遺産分割が終わる前でも一部の預金を引き出せるようになりましたが、手続きは複雑で、金融機関ごとに必要書類も異なります。
また、相続人全員で話し合った内容をきちんと書面にまとめた「遺産分割協議書」を作成し、全員の署名・実印がそろっていないと、口座のお金を引き出すことができません。
こうした手続きをスムーズに進めないと、葬儀費用の支払いが遅れたり、遺産の分け方でもめたりと、相続人全員が不利益を被るおそれがあります。
2. 相続税の特例が使えない
相続税の申告では、「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」といった制度を使うことで、相続税を大きく減らせる可能性があります。
しかし、これらの特例を使うためには、「誰がどの財産を相続するのか」が決まっていなければなりません。
つまり、遺産分割の話し合いがまとまっていないと、こうした特例は使えないのです。
遺産分割が終わっていない場合は、いったん「法律で決められた割合(法定相続分)」で相続したと仮定して、相続税を計算・納付する必要があります。さらに、税金は原則として一括で納めなければなりません。
もちろん、その後に遺産分割がまとまり、特例を使えるようになれば、税務署に申請することで払いすぎた税金を返してもらう(還付を受ける)ことは可能です。ただしこの場合、一時的に多くの税金を負担しなければならない相続人が出てくるため、その調整が必要になるなど、手間やトラブルのもとになることも少なくありません。
このような問題を防ぐためにも、相続が発生してから10か月以内という相続税申告の期限までに、遺産分割を終えておくことが非常に重要です。
3. 不動産が共有名義になり、売却や管理が困難に
ご家族やご親族が亡くなった後、その方の名義になっている不動産(自宅や土地など)は、相続人全員の「共有財産」になります。
このとき、「遺産分割協議」や「名義変更(相続登記)」をしないまま放置してしまうと、大きなトラブルに発展する可能性があります。
たとえば、その不動産を売ったり貸したりしたい場合には、相続人全員の同意が必要になります。
ひとりでも反対すれば、売却や賃貸はできません。相続人の人数が多くなればなるほど、話し合いが難しくなることが多いです。
さらに長期間放っておくと、「数次相続(すうじそうぞく)」という問題が発生することがあります。
これは、もともとの相続人がさらに亡くなってしまい、その子や孫などに権利が移ることで、関係者がどんどん増えてしまう状態のことです。
こうなると、「実家を売ろう」と思ったときにも、誰に連絡を取ればいいのか分からない・話がまとまらないといった状況になりやすく、不動産を活用すること自体が非常に困難になります。
なお、話し合いがうまく進まない場合でも、「家庭裁判所の調停」や「審判」といった法的手続きを使って解決することができます。
4. 不動産の名義変更が義務化され、罰則も
2024年4月1日から、「相続で不動産(土地や建物など)を取得した場合、3年以内に名義変更(相続登記)をしなければならない」という新しいルールが始まりました。
たとえば、
- 相続が発生したときから3年以内
- 遺産分割協議で不動産を受け取ることが決まった場合は、その協議が成立した日から3年以内
に、登記を済ませる必要があります。
なぜ、いま「相続登記」が義務になったの?
これまで、「相続登記は義務ではない」とされていたため、名義を故人のまま放置している土地が全国に増え続けていました。「価値があまりないから」「相続人と連絡がつかない」「話し合いがまとまらない」など、理由はさまざまです。
しかし、放置された土地が増えることで、災害復興やまちづくりの妨げになるケースも多く、社会問題となっていました。
そのため、一定期間内に名義変更しなかった場合は、10万円以下の過料(ペナルティ)が科される可能性があると法律で定められたのです。ただし、すぐに登記ができない場合の「特例」もあります。
たとえば、以下のような事情がある場合には「正当な理由がある」として、過料が免除される可能性があります。
- 相続が何代にもわたり、相続人が非常に多くなっていて、戸籍や関係者の調査に時間がかかる
- 遺言書の内容や遺産の範囲をめぐって争いがある
- 登記をしなければならない相続人が重い病気にかかっている
- 登記簿はあるけれど、現地の状況と地図が一致せず、調査が難しい
とはいえ、これらのケースに該当しない限り、登記の義務からは逃れられません。
将来の親族間トラブルや無駄な費用を避けるためにも、「いま動く」ことが大切です。
5. 相続税の申告期限に間に合わず、ペナルティが発生
相続が発生すると、「相続税の申告」をしなければならないケースがあります。この申告には期限があり、「亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」に済ませなければなりません。
しかし、実際の相続では、誰がどの財産を受け取るのかを決める「遺産分割協議」でトラブルになったり、話し合いがなかなか進まなかったりすることがよくあります。
そうすると、申告の準備が遅れ、「加算税」や「延滞税」といったペナルティが発生してしまう可能性もあります。
相続税の申告には、次のような手間のかかる作業が必要です
- 相続人を特定するための戸籍の取り寄せ・調査
- 不動産や預貯金、株式、保険などの財産内容の把握
- 相続人同士の話し合い(遺産分割協議)
これらを10か月以内にすべてご自身で対応するのは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。
そこで、相続手続きをスムーズに進めるためには、早い段階で相続に詳しい弁護士に相談することが非常に重要です。
弁護士であれば、法律や税金の面もふまえてアドバイスできるので、トラブルを防ぎながら、申告期限までにきちんと手続きを進めることができます。
弁護士に相談すれば、スムーズに解決できる可能性が高まります
「相続人との連絡がとれない」「誰にどの財産を分けるかで意見が食い違う」「前の代の相続登記が終わっていない」…そんな時は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
当事務所では、以下のようなサポートが可能です。
- 相続人や財産の調査
- 遺産分割協議書の作成・押印の手続き
- 相続人との交渉の代理
- 遺産分割調停や審判の申立て など
ご依頼いただければ、複雑な手続きや対立のある場面でも、ご希望に沿った形での早期解決を目指します。
遺産分割のご相談はお早めに
次のようなお悩みがある方は、今すぐご相談ください。
- 不動産を共有したくないが、話がまとまらない
- 疎遠な相続人がいて、連絡がとれない
- 登記の名義がずっと亡くなった方のまま
- 自分では相続手続きの進め方がわからない
当事務所では、相続に関する初回相談を無料で承っています。
お電話(089-993-8167)または、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。